個人で経営していた事業が軌道に乗って法人化(法人成り)させるのはよくある話ですが、反対に法人から個人事業主(個人成り)に前向きな理由で戻るケースもあります。
法人化すると、厚生年金や健康保険といった社会保険に加入する必要が出てきます。社員の社会保険料の半額を会社が負担する必要があるのですが、その支出が大きな負担になる場合も少なくありません。個人事業主になるとその負担がなくなるので、コスト面の負担が削減されるというメリットが生まれます。
また、法人成りをする際に最大2年間消費税の支払いを免除される仕組みがありますが、逆に法人から個人成りする時にも、再度2年間の消費税免税許可が下ります。たとえ2年間でも免税措置を受けられるのは経営的に大きいので、こちらもメリットと言えるでしょう。
そして何と言っても、法人と比べて個人事業は税務申告などの手続きを楽に行えるのが最大のメリットでしょう。個人事業主の場合、税務申告は確定申告のみです。しかし法人の場合、領収書の整理や決算書の作成、日々の仕訳作業、財務諸表の作成と多岐に渡ります。そのため税理士を雇ってこれらの業務を任せることになりますが、依頼には顧問料がかかります。
このように個人成りを行うことで経済的な負担が減るだけでなく、税務手続きの工数も減らすことができます。そのため、夫婦経営や小さな規模で法人経営をしていて創業が長くなったり細々と経営している場合、後継者難などを見越し、突然会社を倒産させるという道を避け、個人成りをして少しずつ事業を小さくしていく方が増えているようです。
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